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海外バイヤー169件の「欲しいもの」を全部読んでみた
──依頼文に書かれている、日本の食品メーカーへの本当の条件
みなさん、こんにちは。ジャパンフードカンパニーの南口です。
今回は海外の話です。弊社は、海外バイヤーと日本の食品サプライヤーをつなぐマッチングサービスを使い、海外から届く、日本の食品・飲料の調達依頼を毎週見ています。2026年5月から8月にかけて食品関連の商品を探していた169件の依頼文を、今回あらためて全部読み直しました。
先にお断りしておきます。これは市場全体の統計ではありません。同じバイヤーが時期をずらして再投稿したものも数件含まれています。それでも、海外のバイヤーが日本の食品飲料メーカーに向けて自分の言葉で書いた依頼文を、まとめて読める機会はそう多くありません。OEM受託メーカーの皆さんに役立ちそうな点を、数字と一緒にお伝えします。
どこの国から、何を探しているか
国は台湾28件、シンガポール24件、香港20件の順で、東アジアと東南アジアで6割強を占めます。次いで中東16件、インドを含む南アジア14件、北米13件、欧州11件です。品目は重複ありで、お菓子・スナック67件、ノンアルコール飲料52件、麺・レトルト・缶詰47件、調味料・だし46件、水産物36件、酒類33件、冷凍食品28件、日本茶・抹茶26件でした。ここまでは実感どおりだと思います。私が注目したのは、依頼文の末尾に書き添えられた「条件」のほうです。
依頼文の後半に書かれている「本当の条件」
賞味期限を明記した依頼は13件・9社で、多数派は6〜9ヶ月以上の指定です。10ヶ月以上を求めたのは3社にとどまります。いずれも「〜以上」の下限で、輸入時点の残り期間か、製造時点からの総期間かは依頼文から分かりません(これは未検証です)。「常温保存可能」と書いた依頼も7件あり、冷凍・冷蔵の物流が整っていない国では、常温で長く持つことがそのまま商品力になります。認証では、ハラールが6件、HACCP・ISO22000・BRC・FSSC22000・コーシャを挙げた依頼が5件ありました。
中小メーカーの勝負どころは、指名買いの「外側」にある
「キットカット」「ミツカン」のように銘柄を名指しした依頼は24件(14%)で、ここは大手の土俵です。見るべきは残りの8割超、カテゴリだけを書いて、どこのメーカーとも決めていない依頼です。提案した企業が、そのまま候補になります。
「香港未進出の商品」「地方限定のお菓子」「小規模の醸造所の商品」「産地を指定した抹茶を、工場と直接つながって仕入れたい」。現地で見たことがないもの、産地と作り手の顔が見えるものは、まさに地方の中小メーカーの持ち味です。「醤油のOEM」(台湾)、「プライベートラベルが可能な飲料」(インド)など、OEMに直結する依頼も5件ありました。
インドと中東は、「誰の声か」を分けて読む
インドは13件ですが、依頼主は5社です。1社だけで6件を占め、鰹節・醤油・みりん・だしの素などを銘柄と容量まで指定した、業務用の和食調達でした。使い道は書かれておらず、飲食店や食材卸への納品だろうというのは類推です。銘柄指定は13件中8件ですが、3社に集中します。それ以外は、ヴィーガン・植物由来・プライベートラベルと、「つくり方」で書かれた依頼です。ヴィーガン・植物由来に触れた5件のうち3件がインドで、Pew Research Centerの2021年調査では、インド成人の39%がベジタリアン、約8割が肉を控えています。ヴィーガン対応は、インド向けの入口になりえます。これは仮説です。
中東は16件・12社です(UAE5、カタール4、サウジアラビア3、トルコ2、クウェートとバーレーン各1)。指名買いは12社中2社で、残りは品目や条件で探しています。湾岸協力会議の6カ国は、食料の最大85%を輸入に頼るとされ(世界経済フォーラム、2025年)、日本の食品への関心は、流行というより日常の調達として出ていると読めます。これは類推です。
ハラールは、これからも伸びる
ハラールを条件にした依頼は6件(約4%)・5社で、UAE・マレーシア・インドネシアに集中しています。中東の12社では2社が明記し、肉を挙げた2社のうち書いたのは1社でした。書かない理由は依頼文では分かりません。前提になっている買い手が多いのでは、と私は見ています。これは仮説です。
それでも小さな話とは考えません。理由は3つです。1つ目は母数で、Pew Research Centerによれば、ムスリムは2010〜2020年に3億4,700万人増えて20億人(世界の25.6%)になり、2050年には約28億人と予測されます。ハラール食品の消費額も、DinarStandardの推計で2024年の1.53兆米ドルから2029年に2.06兆米ドルへ増えます(年率約6%は弊社の計算で、日本食品の輸出市場の大きさではありません)。2つ目は要求の強さで、インドネシアは輸入食品のハラール認証を義務化しており、履行期限は2026年10月17日までと定められています(JETRO)。運用の細部は要確認です。3つ目は買い手の広がりで、2050年にはインドが世界最大のムスリム人口国になる見通しです(Pew)。
以上から、依頼文の「ハラール」は今後も増え、書き方は「優先します」から「必須です」へ寄り、広がる順は東南アジアと湾岸、続いて南アジアになると予測します。これは仮説です。6件では証明できないため、次の半年も同じ集計を続けて確かめます。
逆の見方もあります。市場が伸びることと、中小メーカーが受注できることは別の話で、認証には費用と時間がかかります。だから認証の前に、原材料を、アルコール(みりん・料理酒・香料の溶剤など)と動物由来の原料(ゼラチン・エキス類・ラードなど)の有無で棚卸ししておくことです。動物由来を使わない版は、ヴィーガンにもハラールの審査にも近い設計ですが、重なりは認証機関で異なります。これは類推です。
出典
・Pew Research Center「Islam was the world's fastest-growing religion from 2010 to 2020」(2025年6月):https://www.pewresearch.org/short-reads/2025/06/10/islam-was-the-worlds-fastest-growing-religion-from-2010-to-2020/
・Pew Research Center「Projected Changes in the Global Muslim Population」(2015年4月):https://www.pewresearch.org/religion/2015/04/02/muslims/
・Pew Research Center「By 2050, India to have world's largest populations of Hindus and Muslims」(2015年4月):https://www.pewresearch.org/short-reads/2015/04/21/by-2050-india-to-have-worlds-largest-populations-of-hindus-and-muslims/
・Pew Research Center「In India, 81% limit meat in diet and 39% say they are vegetarian」(2021年7月):https://www.pewresearch.org/short-reads/2021/07/08/eight-in-ten-indians-limit-meat-in-their-diets-and-four-in-ten-consider-themselves-vegetarian/
・DinarStandard「State of the Global Islamic Economy Report 2025/26」:https://www.dinarstandard.com/insights/state-of-the-global-islamic-economy-report-2025-26
・JETRO「インドネシアBPJPH、輸入食料品に対するハラール認証取得の義務化を延期」(2024年10月):https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/10/73db3fa2cf2c0711.html
・World Economic Forum「The GCC is increasing food security through innovation」(2025年2月):https://www.weforum.org/stories/2025/02/gulf-food-security-innovation/
依頼文が教えてくれる、明日からの準備
1. 賞味期限が6ヶ月以上(できれば9ヶ月以上)ある常温の商品があると強い
2. その1品について、英語の商品規格書と原材料・アレルゲン表を用意する
3. HACCPなど取得済みの認証を、規格書の1行目に書く
4. 「うちの商品は現地にまだない」と言える根拠を1つ持つ(産地・製法・地域限定)
5. 原材料を、アルコールと動物由来の原料の有無で棚卸しする
海外の売場は、皆さんが思っているより具体的に、日本の中小メーカーを探しています。依頼文は、その証拠です。
「うちの商品は海外で通用するのか」と思ったら、まず無料相談を
弊社の海外販路開拓支援『カイタク』では、海外バイヤーの調達依頼の中から御社の商品で応えられるものを選ぶところから、英語での提案、商談までを伴走しています。商社に預けて待つのではなく、御社が直接海外の売場とつながる「DtoG(Direct to Global)」の進め方です。
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▼海外販路開拓支援『カイタク』の詳細・お問い合わせはこちら:https://jfood-c.jp/direct-to-global/
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ジャパンフードカンパニー(JFC)
「海外進出」「デジタルマーケティング」「Eコマース」の3軸を強みとし、日本の中小食品メーカーの売上アップを専門に支援しています。
画一的な提案ではなく、各企業の個性を最大限に活用した「成長し続ける企業作り」を、戦略立案から実行まで伴走型でトータルサポートいたします。
■主な支援内容
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