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レポート69 / 「食品業界のDXを阻むジレンマをEC事業で乗り越える方法」
 
 
     
 





「変革はトップダウン、実行はスモールスタート」食品業界のDXを阻むジレンマをEC事業で乗り越える方法


皆さん、こんにちは。ジャパンフードカンパニーの南口です。

2025年10月の賃上げにより、全国すべての都道府県で最低賃金が1,000円を超えることとなりました。高市内閣による積極財政やガソリンの暫定税率廃止など、景気に対する期待値は高まっています。しかし、食品業界における「原材料高騰」と「人件費高騰」は、構造的な問題です。このため、一時的な景気の盛り上がりがあったとしても、根本的な問題解決には至らないと私は考えています。

特に、原価高騰の大きな要因は、「様々な分野で海外に買い負けている」ことにあると私は考えています。


こうした構造的な課題を乗り越えるために、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が必要不可欠となります。


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DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義と目的

経済産業省はDXを以下のように定義しています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か


・デジタル技術やツールを導入すること自体ではなく

データやデジタル技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出していくこと。

また、そのためにビジネスモデルや企業文化等の変革に取り組むことが重要となる。

つまり、DXの真の目的は、「顧客への新たな価値を創出する」ことであり、その実現のために「ビジネスモデルや企業文化等の変革」を必要としているのです。

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「改善レベル」で止まるDX

ここで、DXの達成に必要な「変革」という言葉に着目し、「改善」「改革」「変革」の違いを整理します。


・改善 現状を肯定し、その延長線上で悪い部分を良くしていくこと(部分的な修正

・改革 現状を否定し、根本的なやり方を見直すこと(抜本的な修正)

・変革 現状を否定し、これまでの延長線上にないものをゼロベースで新しく創り上げていくこと(全く新しい価値創造)

私が最近DXに関するご相談を受けた際、多くの企業で「ITツールの導入で止まっている」「改善レベル」に留まっている事例を散見します。たとえ変革でなくとも、多くのメーカーにとって改革は必要と言えます。



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 DX推進を阻む二つの壁

1. トップダウンによる「いきなり大きな変革」の難しさ

次に多いのが、「いきなり大きな変革を行おう」とすることです。

変革には、現状維持バイアスや、部門間の利害衝突など、多くの問題や課題が伴います。特に、デジタルに対する抵抗感のある方が上層部や部門責任者である場合、会社全体の最適化や効率化の必要性は理解しつつも、現場からは「重箱の隅をつつく」ような議論が出てしまいがちです。結果として、ツールを導入したにもかかわらず運用が形骸化し、DX化が停滞してしまう企業が多く見られます。



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2. 変革はトップダウンでなければならないジレンマ

ただ、ここで間違ってはいけないのが、変革はトップダウン(経営層の強いリーダーシップ)で行わなければならないという点です。

変革を実現するためには、既存の何かを捨てる必要性が出てきます。部門間で利害が一致せず衝突する場合であっても、「大きな大義」の元、最終的な意思決定を下す場面が必ず登場するためです。つまり、責任が取れない人には変革は遂行できません。

企業として変革の必要性を感じつつも、「経営陣が前のめり過ぎてもダメ」「現場主導も絶対にダメ」というジレンマを多くの経営者は抱えていらっしゃいます



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 推薦するアプローチ:「デジタルを活用した小さな新規事業」

そこで、私が多くの中小企業の経営者様にお勧めしているのが、「デジタル分野を活用した小さな新規事業を始める」というアプローチです。

思惑は以下の通りです。

 1.新規部署を立ち上げ、例えばEC事業を始める(ECでなくても、デジタル活用がしやすい事業で構いません)
 2.EC事業をチョイスした経営者の方は、デジタルツールが多く、かつ属人化されにくい業務が多いECを通じて、まずデジタルツールに慣れることを目指します
 3.EC部門は、売上が上がっても部門の人数を大きく増やすことはしません。これにより、EC部門が、他部門における「社内でのデジタル化成功事例」となります
 4.小さな成功事例を通じて、デジタルツールの活用が徐々に社内に伝播・浸透し、デジタルツールを使うことへの心理的ハードルが下がっていきます
 5.

結果として、「導入したが使われない」という事態に陥りにくくなります。後は、日々PDCAを回し、アップデートしていくだけです


どんなテクノロジーであれ、必ず否定する一派は存在します。今のAIがまさにそうであり、かつてのインターネットやスマートフォンも同様でした。しかし、テクノロジーは確実に社会を便利にするため、上手く付き合えた人が強くなることは歴史が証明しています。


DXというと、どうしても「ツールありき」で考えられがちですが、もう少しすればAIが進化することで、自社で簡単なアプリやツールは作れる時代になります。食品製造業であれば、やはり材料や製造(人)が付加価値の源泉であり、そこに注力するために、どこをどう自動化すれば、全体最適が進むのか、まずは【机上の空論】から始めていきませんか?



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■業務用ネット通販、食品EC、営業DXなど、デジタル営業、海外販路開拓など、

中小食品企業の業績アップのことならジャパンフードカンパニーにご相談ください。

 

ジャパンフードカンパニー(JFC)

「海外進出」「デジタルマーケティング」「Eコマース」を活用し、日本の中小食品メーカーの売上アップを支援することを得意としています。画一的なソリューションではなく、企業の個性を最大限に活かし、成長する企業作りを得意としています。

企業HP https://jfood-c.jp/



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