皆さん、こんにちは。ジャパンフードカンパニーの南口です。
今回は、「商品開発のヒントのヒント」というテーマでお話したいと思います。
食品業界は、消費者の食に対する価値観が多様化し、細分化の一途をたどっています。健康志向、環境意識、倫理観、そして個人の趣味嗜好まで、食の選択基準は多岐にわたります。このような時代において、すべてのニーズを自社だけでカバーすることは現実的ではありません。だからこそ重要性を増しているのが、OEM(受託製造)、特に小ロットOEMの活用です。
小ロットOEMは、多様なニーズを持つ消費者に向けたニッチな商品のテストマーケティングを可能にし、開発リスクを抑えながら新たな市場を開拓する強力な手段となります。メーカーにとっては新たな技術や知見を持つパートナーとの出会いの場となり、バイヤーにとっては自社のブランド力を活かしつつ、専門性の高い商品をスピーディーに市場に投入する道を開きます。もはやOEMは単なる「生産委託」ではなく、未来の食卓を共創するための戦略的パートナーシップと言えるでしょう。
増加する消費者ニーズから逆算する商品開発
では、この多様なニーズの渦中で、どのようにして「売れる商品」のヒントを見つければいいのでしょうか。
それは、表面的なニーズの背後にある「インサイト(動機や深層心理)」を読み解くことです、と言われて出来る方は、稀でしょう。また特にメーカーの多くの方が、「自分たちが得意であったり、興味のある技術」を起点とした商品開発に陥ってしまい、自己満的な製品に仕上がっている例をたくさん見てきました。
では、どうやったら良いのか?
もちろん今からお伝えする方法は一例にすぎませんが、それは、「今、ホットになりそうなニーズを仕入れ、そこから逆算する」がおすすめです。これはあくまで私のやり方の1つです。具体的には、以下の4ステップです。
1.今、キているニーズ、現象情報を仕入れる
2.現象情報から、そこに隠されているニーズやインサイトを考える
3.ニーズやインサイトに対して、世の中の既存商品の「代替案」として自社の製品・技術を提案する営業ロジックを考える
4.現実性を検討し、是非を決める
ステップ3までが、いわゆるアイデア段階です。とにかくここまでは、「出来る、出来ない」軸では全く考えず、「こんなのあったら売れるかも」を量産することが重要です。ほとんどがステップ4で却下されていくわけですから、このステップ3までにおける「量」が結果に直結します。そして、作り手側の得意であったり、興味のある技術起点で考えてはいけない点も必ず留意してください。
より具体的にしてみましょう。例えば、現在であれば、フェムテックやPMSなどの女性特有のお悩み周り課題や、推し活や眠活、ペットフードのヒューマンクオリティ化が挙げられます。
それぞれにおいて架空の商品企画案を考えてみましょう。
1. フェムテック・PMS
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ニーズ: 生理前後の不調(PMS)や、妊娠・更年期など女性特有の健康課題をサポートする食品への関心が高まっています。
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インサイト: 女性たちは、単なる「健康食品」ではなく、日々忙しく過ごす中で「手軽に美味しく」「自分を労わるご褒美として」不調をケアしたいと考えています。また、オープンになりつつある課題だからこそ、共有できる話題性のある商品も求められています。
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商品アイデア:
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「ハーブ香るリラックスティーゼリー」: PMS期のイライラを抑える効果が期待されるハーブを配合。小分けのパウチで、仕事の合間や就寝前に手軽に食べられる。パッケージには「自分を優しくケアする時間」をコンセプトにしたデザインを採用。
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「温活グラノーラ」: 身体を温める食材(生姜、シナモンなど)と、女性ホルモンのバランスを整えると言われる大豆製品(きなこなど)を組み合わせたグラノーラ。朝食として手軽に摂れるだけでなく、おやつとしてそのまま食べても美味しい。
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「ご自愛カカオプロテインバー」: PMS期の食欲コントロールをサポートする高タンパク質と、精神を安定させる効果が期待されるカカオポリフェノールを組み合わせたプロテインバー。罪悪感なく食べられるヘルシーなご褒美として訴求。
2. 推し活・〇〇活
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ニーズ: アイドルやアニメのキャラクターなどを応援する「推し活」をはじめ、「眠活(睡眠改善)」「温活」など、特定の目的を持ったライフスタイルを楽しむ人が増えています。
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インサイト: 人々は、単に「商品を消費する」だけでなく、「特定の活動をより豊かにする」ためのツールとして食品を求めています。推し活であれば「推しへの愛を表現したい」「仲間と楽しみたい」、眠活であれば「最高のパフォーマンスを発揮するために、質の良い睡眠を確保したい」という深層心理が隠されています。
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商品アイデア:
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「推しカラースムージーの素」: 推しのメンバーカラーに合わせて選べるフリーズドライスムージー。牛乳や水に溶かすだけで簡単に作れる。推し友との集まりで盛り上がるアイテムとして、SNS映えを意識したパッケージデザインが重要。
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「夢をみるハーブキャンディ」: 睡眠の質を高める効果が期待されるハーブを配合したキャンディ。個包装のパッケージには、眠りにつく前のリラックスした時間をイメージしたイラストを描き、「明日も頑張るあなたへ」といったメッセージを添える。
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「集中力UP!ブレインフードクッキー」: 勉強や仕事の効率を高めるDHAやGABAを配合したクッキー。小腹を満たしながら集中力を維持したいというニーズに応える。推し活中の集中力維持にも使えるといった、多角的な訴求が可能。
3. ペットフードのヒューマンクオリティ化
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ニーズ: 家族の一員であるペットの健康を考え、人間が食べても安全・安心な高級ペットフードや、健康・機能性に特化した食品への需要が高まっています。
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インサイト: ペットオーナーは、単なる「餌」ではなく、愛する家族の健康を考えた「食事」としてペットフードを捉えています。「自分が食べても美味しいと思えるもの」という基準で商品を選ぶ傾向にあります。
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商品アイデア:
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「人間も食べられる!無添加野菜チップス」: 人間用の野菜チップスの製造技術を応用し、ペットが食べやすいサイズに加工。安心・安全な無添加で、ペットとオーナーが一緒に食べられる「シェアおやつ」として提案。
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「腸活サポート!発酵ペットフード」: 人間の健康ブームでもある「腸活」をペットフードに応用。発酵させた穀物や野菜、乳酸菌などを配合し、ペットの腸内環境を整える。
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「シニア犬向け機能性プリン」: 噛む力が弱くなったシニア犬でも食べやすい、滑らかなプリン状のフード。関節や認知機能のサポート成分を配合し、高齢ペットのQOL向上に貢献。
商品開発は、単なる「モノづくり」ではなく、消費者の「困った」や「こうありたい」という願いを叶えるための「コトづくり」です。そして、その実現には、自社の強みと、OEMパートナーの持つ専門的な知見や技術を掛け合わせる「共創」が欠かせません。
多様化、細分化が進む現代において、OEMは単なる生産手段ではなく、未来の食を共創するための強力な戦略です。本コラムが、御社の強みを活かし、新たなパートナーとの出会いを通じて、消費者の心に響く商品開発のヒントになれば幸いです。
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