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皆さん、こんにちは。
この度、2025年5月27日から31日までタイのバンコクで開催されたTHAIFEX2025を視察してまいりましたので、その際の様子を皆さんにお伝えしたいと思います。THAIFEXは、アジア最大級の食品・飲料展示会であり、世界中の食品業界関係者が集まる一大イベントです。私も今回初めての視察で、日本の食品産業の現状と海外での評価を肌で感じることができ、非常に多くの気づきがありました。
▼THAIFEX-Anuga Asiaとは
東南アジア最大級の総合食品見本市「THAIFEX-Anuga Asia 2024」が5月28日~6月1日、バンコク近郊で開催された。今回は13万平方メートルの広大な展示スペースに52カ国・地域から3,133社・団体が出展し、前年の実績(45カ国・地域、3,034社・団体)を上回った。
主催者発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますや現地報道によると、一般客を除くバイヤーなどの来場者数は131カ国・地域から8万5,850人(本レポートの執筆が2025年開催期間中のため、JETRO 2024年のビジネス短信より引用)
※国内最大級の食の展示会FOODEXが、2025年85,000平方メートル以上とされています。
ジャパンパビリオンの様子
日本企業の出展は、大手企業はそれぞれが趣向を凝らした単独ブースを構え、そのブランド力を存分にアピールしていました。一方、中小企業の多くはJETRO(日本貿易振興機構)のジャパンパビリオンに集約されていました。集約されることで、各社が単独でバラバラにブースを出すよりも、「JAPAN」としての訴求力が格段に高まっていて非常に良かったです。
昨今の和食ブームは、皆さんもご存知の通りかと思いますが、その影響はTHAIFEXでも顕著でした。ジャパンパビリオンは多くの来場者で賑わっていました。来場者の顔ぶれも実に多様で、タイ国内のバイヤーはもちろんのこと、中国、韓国といった東アジア諸国、さらにはベトナム、インドネシア、マレーシアなどの東南アジア諸国、そして遠くは中東やインドからのバイヤーも見受けられました。
注目を集める日本食材と懸念される「買い負け」による日本国内に於いての価格上昇
特に人気を集めていたのは、やはり水産物、さらには海外でも健康志向の高まりとともに注目されている抹茶のブースでした。これらのブース前で試食や商談を行う光景が多く見られました。
一方で、今回の視察で強く感じたのは、円安という経済状況が日本の食品輸出にもたらす影響です。現在の円安傾向は、日本製品の海外での価格競争力を高めるという良い側面もありますが、同時に海外に対する購買力を相対的に低下させます。今後、より一層日本は、海外に対して「
買い負け 」が起こるのではないかという懸念が強くなりました。つまり、日本国内の消費者が、海外からの高値での買い付けによって、これまで手頃な価格で手に入っていた食品を入手しにくくなったり、価格が高騰したり、手に入らなくなるリスクがあるということです。
しかし、この懸念を抱きつつも、多くの海外バイヤーが日本の食品に対して強い関心を示している姿を目の当たりにし、日本の高品質な食品が世界中で求められていることを改めて実感しました。これは、日本の食文化がグローバルに受け入れられ、今後もその市場を拡大していく可能性を秘めているという、日本製品の将来に対する希望に繋がる視察となりました。やはり閉塞感漂う日本国内だけを相手にするのではなく、海外へも活路を見出していく重要性を再認識しました。
世界の食のトレンド:「Ready-to-Eat」と「Ready-to-Cook」
2024年の発表ではありますが、THAIFEXにおける成約額上位5品目は、レトルト食品などの調理済み食品、デザート、菓子、飲料、冷凍食品、水産物だったそうです。今年の具体的な成約額はまだ発表されていませんが、会場全体を見渡しても、「Ready-to-Eat(すぐに食べられる)」や「Ready-to-Cook(すぐに調理できる)」といった言葉をよく目にしました。このことから、簡便性や時間の節約を求める現代のライフスタイルに合わせた食品が、依然として大きな需要を抱えていることが伺えます。この大きな流れは、今年も変わっていないのではないかと推察しています。
日本の醤油メーカーによる連携と多様な提案
また、特に印象的だったのは、日本の醤油会社が15社も集まって、1つの巨大なブースを形成していたことです。これは、各社が個別にブースを出すよりも、日本の醤油文化全体をアピールする上で非常に効果的な取り組みだと感じました。彼らは、世界的に高まっているグルテンフリーの需要に沿った醤油製品の提案や、日本独自の食文化であるポン酢の紹介など、多様なニーズに応える提案を行っていました。
THAIFEX2025視察雑感:物流と多様性、そして中国の台頭
今回のTHAIFEX視察を通して、いくつか雑感として感じたことを共有させていただきます。
· Ready-to系商材における常温製品の多さ: 「Ready-to-Eat」や「Ready-to-Cook」といった簡便食をよく目にする一方で、圧倒的に常温製品が多い印象を受けました。これは、東南アジアにおける物流の課題、特に冷凍輸送インフラの整備がまだ十分ではないため、冷凍製品の割合が少ないのではないかと推察されます。今後、冷凍技術やコールドチェーンの発展が、これらの地域の食品市場にどのような変化をもたらすのか注目です。
· 世界的トレンドへの適応: 「Ready-to-Eat」以外にも、グルテンフリーやハラルといった、世界の食の時流に沿った提案が数多く見られました。これは、多様な食文化や健康志向に対応することが、今後の食品ビジネスにおいても不可欠であることを示唆しています。
· 中国中小企業の驚くべき出展数: 会場全体を見渡すと、中国の中小企業の出展が非常に多いことに驚かされました。日本の数倍から、もしかすると10倍ほどの企業が出展していたように感じました。
· 音への反応は世界共通: 各社のブースでは、来場者の注意を引こうと、日本ではあまり見られないような鳴り物や、展示スタッフの大声での掛け合いが行われていました。この「音」への反応は、文化や国境を越えて共通しているのだと、改めて認識させられました。
今回の視察では、目新しい革新的な商品を個人的には見つけることはできませんでした。しかし、それは決してネガティブなことではありません。むしろ、今日においては、斬新さよりも「いかに時流に自社を適応させていくべきなのか」が重要であることを物語っているのかもしれません。既存の技術や製品を、いかに現在のトレンドや消費者のニーズに合わせて改良・提供していくか、その重要性を再認識させられました。
2026年3月には、HORECA(ホテル、レストラン、カフェ)向けの展示会もあるようなので、機会があえば是非、訪れてみたいと思います。
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