| コラム 「食品開発×SDGs」 | ||
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| (6) アジアのサスティナブル(東南アジア・ベトナム編) | ||
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皆さま、こんにちは。株式会社Agritureの小島です。これまで第1回〜第3回のコラムでは、サスティナブルな食品開発のあり方や、日本における課題と可能性について考えてきました。
第4回・第5回では欧米圏のサスティナブルを取り上げましたが、今回は日本とも距離が近く、経済的・文化的な関わりも深い東南アジアに目を向けたいと思います。
ベトナムの食卓には、なぜ「圧倒的な生命力」があるのか
ベトナムと聞くと、日本から見るとまだ「途上国」というイメージを持たれる方も多いかもしれません。実際、ベトナムの経済成長率は5〜7%前後と高水準で推移しており、南部のホーチミンではビル建設や外資企業の参入など、急速な都市化が進んでいます。
一方で、少し郊外へ足を伸ばすと、ホーチミン市内であってもローカル屋台が立ち並び、野菜は道沿いの八百屋で購入するなど、成長途上ならではの街並みが今も残っています。
その中で街を歩いてまず感じるのは、人々のエネルギーと、食における「鮮度」への強いこだわりです。早朝から路上に広がる市場、バイクで運ばれる大量の食材、軒先でフォーをすする人々。そこにあるのは、きれいにパッケージされた商品棚ではなく、「生産と消費の距離の近さ」です。
朝採れた野菜やハーブがその日のうちに食卓に並び、鶏や豚は部位を余すことなく使い切り、基本的にはその日のうちに消費されます。そのため、流通を前提とした高度なパッケージを必要としない生活シーンが、今も当たり前のように存在しています。
ベトナムのサスティナブルは、「昔ながらの知恵」にある
欧米では「新しいシステムとしてのサスティナブル」が設計・構築されつつあります。一方でベトナムには、「昔ながらの循環型生活」が今も色濃く残っています。
ベトナムのサスティナブルは、意識の高いトレンドというよりも、資源を無駄にしない合理性、自然素材を生活道具として使いこなす知恵といった、「生活の知恵としてのサスティナビリティ」がベースにあります。
例えば、プラスチックが普及する以前から、バナナの葉で餅や惣菜を包む文化があります。市場では、新聞紙や草紐が今も梱包材として使われています。
中でも象徴的なのが「ハス(蓮)」の使い方です。花は鑑賞や茶に、実はスナックに、茎はサラダに、根(レンコン)は煮物に、そして大きな葉は包装材に。一つの植物を捨てるところなく使い切る姿勢は、まさにサーキュラーエコノミー(循環経済)そのものです。
意図せずとも、彼らの生活文化の中には、最初からサスティナブルが組み込まれていました。これは日本にも通じる部分があり、大豆を豆腐として利用した後に出る搾りかすを「おから」として活用するなど、昔ながらの食品加工文化にも共通点が見られます。
急速な経済成長と、発展途上の食品開発
現在のベトナムは、急速な経済成長の只中にあります。都市部ではスーパーで購入される、流通に適したパッケージ食品への需要も確実に高まっています。
一方で、それを支える食品開発技術や加工インフラは、まだ十分とは言えません。そのため、シンプルな加工品や、簡易的な袋詰めの商品が、日本で言えば道の駅に並ぶような感覚で、都市部のスーパーでも販売されている光景を目にします。
現時点のベトナムにおいては、「食品開発におけるサスティナブル」という段階よりも、新しい技術を活用した食品OEMのバリエーションが広がっていくフェーズにあると感じています。
一方で、前述したように、市場で買い物をし、その日のうちに新鮮な素材を食べ切るという循環型の食文化は、今も健在です。今後、食品開発の幅が広がる中で、この伝統的なサーキュラーエコノミーがどのように変化していくのか。その点は非常に興味深いテーマだと考えています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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